巨像キャンプ

このブログは、日本各地の巨像を見に行く私、たかはしのレポート兼旅行記のようなものです

【兵庫県淡路市】世界平和大観音像(※現在閉業)

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◆巨像DATA

像名 世界平和大観音像
所在地 兵庫県淡路市釜口2006
施設名 豊清山平和観音寺(※現在閉業)
高さ
(像高/台座)
全高約100m
(像高約80m/台座約20m)
材質 鉄筋コンクリート
モチーフ 観音菩薩
種類 立像
景観 海、市街地・住宅街
建立年月日 1982年(昭和57年)7月
建立者 奥内豊吉
(2019/2/2現在) 

2020/4/1現在 来年度以降の観音像の解体が決まったようです

兵庫・淡路の「世界平和大観音像」解体へ 所有者死亡、劣化著しく 住民「ほっとしている」 - 毎日新聞

◆施設営業時間

9:00~17:00

◆拝観料

800円(開館当時)

◆アクセス

淡路交通バス「津田」から徒歩約3分

◆概要

大阪市西区を中心に賃貸マンションや商業用店舗等の運営をおこなっているオクウチグループの創業者、奥内豊吉氏が故郷である淡路島に建立した宗教施設。宗教法人化はされていない。
台座の1階部分のみ寺院となっており、館内の展示は絵画やクラシックカーなど奥内氏のコレクションがメインだったようだ。
開業当時は1日2,000人が訪れたこともあったらしい。
敷地内には東大の赤門を模した入口ゲートの他、高さ約40mの十重の塔、自由の女神像のレプリカ、蒸気機関車D51などがある。

 

◆経緯

1988年 建立者である奥内氏が死去、施設は妻が相続
2006年2月26日 奥内氏の妻が死去、遺族は存続を放棄し、施設閉鎖へ。その後リーマン・ブラザーズ系列の金融機関が債権を一時保持
同年10月 観音像展望台付近のモルタルが剥離しているのが判明。地元町内会が淡路市に安全対策を要望
2007〜2008年 神戸地裁によって像が競売にかけられるも入札者なし
2008年9月 リーマンショックの影響で債権が別の会社に移る
2009年5月 「世界平和大観音像検討委員会」が設置される
2011年9月10日 淡路市が観音像の内部調査を実施。「倒壊の危険性はない」として像の入り口を封鎖、十重の塔に落下防止ネットを設置するなどして応急処置
2014年8月 台風11号により観音像外壁の一部が崩落
2016年10月 台風24号の影響による新たな崩落が見つかる

 

◆巨像レポート

  • 訪問年月日
    2014年10月8日、2019年1月2日(再訪)
  • 天候
    快晴

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国道28号から望む


まず、景観、アクセスに関してはかなりメジャー向きであると言える。

国道28号線沿いにあり、大阪湾を見下ろす形で立っているのでかなり目立つ。
神戸方面から明石海峡大橋を高速バスに揺られていると、向かって左手にもう見える。
海と大観音の欲張りセットが否が応でも味わえる。

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次にデザインに関しては、非常に直線的であると言える。

軍人のように背筋を伸ばした直立不動の状態で、右肘を直角に曲げぎこちなく手を挙げている。

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十重の塔とむちうち観音


首元にむちうち症患者のギプスのようなものが取り付いているが、これは決して交通事故に遭ったわけではなく展望台らしい。
このギプス、もとい展望台に由来して「むちうち観音」との蔑称、もとい別称がある。

大観音と言うのは多くの場合、額の白毫や胸元、手元などにさりげなく展望窓を忍ばせてるものだけど、首で展望台をむき出しにしているパターンは初めて見た。
それだけレジャー的な目的が強かったんだろうと思う。

見知らぬ土地で廃墟に無理矢理入っていく勇気もモチベーションもない。よって、外観のみのレポートです、すいません。

台座含む全高100m。
現在は牛久大仏に次ぐ全国2位だが、建立当初は世界最大を謳っていた

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腰のあたりに穴が開いている
この大きさで立派な廃墟であり、確実に劣化が進んでいる。
剥がれた外壁や部品が周りの民家に落ちてしまった日には世界平和なんて言ってる場合じゃない。
もったいないし難しい問題ではあるけれど、管理がされていない以上はさっさと取り壊してしまうのが一番平和(観音)的解決なんだと思う。

 

ところで、大観音の足元には「アメリカ」という喫茶店とレストランを兼ねた老舗飲食店がある。

大阪湾、大観音、五重の塔ならぬ十重の塔、そしてアメリカ。
こうして並べて見ると「混沌」とか「ちゃんぽん」といったワードが脳裏をよぎる

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神戸空港発着の飛行機からも見える。
上空から俯瞰すると、ミニチュアサイズの島の端っこに佇む真っ白でカクカクしたシルエットがオモチャのようでなんだかかわいらしい。

私の地元・北海道には、ニポポというアイヌの子供を模した木彫りの人形がある。
ざっくり言うと六角形のこけしみたいなもので、縦長の木を削り出した素朴な風合いがマスコットとして人気である。
世界平和大観音を初めて見たとき、何かに似ている気がするとずっと考えていた。
多分、ニポポに似ているんだと思う

※参考:ニポポ(網走市鱒浦)

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◆2019年1月2日 再訪

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穴が一つ増えてました

 


◆参考サイト

【関西の議論】所有者不在で荒れ果て放置される巨大“迷惑観音像”…複雑に絡む権利・法律、倒壊の危険も行政は手を出せず - 産経WEST

・施設営業中に実際に訪問した人のサイト

世界平和大観音-TOWER FANTASIA 

世界平和大観音-珍寺大道場 

・大観音の建設に携わった方へのインタビュー

【おまけ】巨大観音の建設に関わった人に話を聞いたよ | ボーダーレスの秘密《映像制作メインの情報発信ブログ》